１９２　野澤　海　作
　平成１４年３月、引佐窯の窯出し（陶遊会）で購入した志野のぐい呑みです。この頃の私の仕事が鳥取だったこともあり、平成１３年の名古屋での個展、この年の静岡での２回目の個展にも行けなかったことが心残りです。このぐい呑みもまたこれまでと雰囲気は違います。２回目の静岡の個展の準備で焼いておられた頃のものです。ずっと鼠志野にこだわっておられましたが、この時は「鼠」という言葉を関西の方が好まないと言うことで使わないようにしたと言っていました。箱書きには鼠の文字が入っていません。この後、私も東京勤務となりましたが、仕事が忙しく、また、窯出しの案内もなかったため足が遠のいていたところ、１８年には奥様が、１９年には御本人が亡くなられたとの娘さんからの喪中の葉書が届き大変寂しい思いをしています。ぐい呑みだけではなく、食器、酒器ともに大切に使っていこうと思います。